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​04.
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TISTOU 代表のヒラタミチコです。

25 年前に花屋になる夢を諦めて TISTOU をはじめました。そんな私が大好きなフローリスト、フラワーアーティストの皆さんにフワラーベースの使い方や、花を活けるコツ、そして花人生についてインタビューしました。

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interviewer : Michiko Hirata

photo : Joji Okamoto

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風が少し冷たくなり始めた、秋晴れの朝。紅葉が進んだ新宿御苑の木々を眺めながら、パリスタイルのお花の教室『RAFFINEE-les fleurs-(ラフィネ -レ フルール-)』を主宰するフラワーデザイナーで友人の金山幸恵(以下幸恵)のアトリエへ向かっていた。

ここ新宿御苑をはじめ、明治神宮や代々木公園などがあるこの辺りは、都内でも緑が多いエリア。歩いているだけで自然を身近に感じることができる。

新宿御苑に接する小道沿いに、赤褐色のレンガタイルが印象的なヴィンテージマンションが建っていた。この一室に『RAFFINEE-les fleurs-』の東京アトリエはある。「いらっしゃーい(大阪弁)」と笑顔の幸恵に迎えられ、心地よい部屋の香りに心が躍った。

幸恵は現在、東京と大阪の2拠点にアトリエを構える。彼女との出会いは12年前に遡る。パリでの展示会に買い付けに行った際、現地在住のフラワーデザイナー、斎藤由美さんのお誘いで、エッフェル塔にほど近いレストランで食事をした時に、当時、留学中だった彼女を紹介された。ずいぶんと昔だが、その日のことはなぜか今でも鮮明に覚えている。まだパリに来て間もなく、初々しい印象だったが、彼女が発する言葉ひとつひとつに芯のようなものを感じたからだ。彼女が帰国してからは、一緒に仕事をする機会が増え、家が近いことも相まって、プライベートでも親しくさせてもらっている。

そんな彼女に、花の仕事のこと、そしてパリに行くまでの話を聞くのは初めてだったので楽しみな半面、ちょっと照れくさい気持ちでインタビューを始めた。

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「うっとり」することの大切さ 

「昨日、市場に行った時、このラナンキュラスが可愛くて一目惚れしてん」。この春の明るいラナンキュラスを、事前に彼女が選んだシックな茶色のフラワーベース「Stromboli」(ストロンボリ)の【カブ】に活けたいと思ったそうだ。

「オルセー美術館で見た、マネ(19世紀のフランス人画家、エドゥアール・マネ)の描いた女性像がまさにこのピンクとグレーのようなイメージで。ポストカードをずっと手元に置いてて、そこからインスピレーションが湧いてきてん」。

 

一緒に用意されていたのは、シルバーのアカシアの葉っぱ、白樺の枝、スカビオサとシックな色の花材。どれも、柔らかなピンク色のラナンキュラスに合うものだ。

 

「「Stromboli」(ストロンボリ)は、1つは持っていた方がいいと生徒さんにもオススメしているフラワーベースやねん。レッスンでよく作るサイズのブーケのを入れるのにちょうどいい。重量があるから、大きめのブーケでも受け入れてくれる安心感があるやん。口がすぼまってて、下に向かって広がっている形状も、ブーケを活けるのにベスト。スパイラルに束ねたブーケは茎が広がるからな。ブーケをキレイに見せるためには、フラワーベースの形状がめっちゃ大事なポイント」。

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​Stromboli

今年は行けなくなってしまったが、毎年、1年のうちの1ヶ月をパリで過ごす彼女。滞在中は美術館に足を運ぶことが多いという。「やっぱり印象派が好きやなぁ……とか、美術館に差し込む光を見つめて、ただただうっとりしています(笑)」。花だけでなく、パリで過ごす日常のなかから、たくさんの「うっとり」を吸収しているのだ。

 

時々、お天気のいい日に幸恵と近所の明治神宮を散歩することがあるが、朝の柔らかな木漏れ日や、ドングリが落ちてくる音など、日本にいても常に色んなものに「うっとり」としている。隣で見ていてちょっと可笑しくなることもしばしば。しかしこの「うっとり時間」が彼女の柔らかく透明感のある作品を作り出しているのだな、と改めて思った。

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​Stromboli

光、風、匂いを感じる

パリの“シャンペトルスタイル” 

束ねているブーケはどんどん華やかさを増し、片手では持てないくらいになってきた。このブーケを束ねるときのテクニックが、日本を始め、私が修行をしていたドイツやベルギーとは少し違う(とはいえ、20年以上前の話だが)。

 

「素材にもよるけど、ざっと何本か同じ種類の花材をもって、ざっと束ねて動きをつけるねん。1本ずつ入れると整い過ぎちゃうから、空気を含ませるように仕上げていくのがポイント」。

 

花の世界では、“パリスタイルの花”“パリらしい花”という言葉がごく普通に使われている。しかし、そもそも“パリらしい花”“パリスタイルの花”とはなんだろうか。日本でも色々なスタイルやトレンドがあるように、パリにも色んなスタイルがあるはずだ。

 

ここ25年ほど、パリスタイルの花を語る時に欠かせないキーワードがある。それは「シャンペトル(champêtre)」という形容詞だ。今回、幸恵が作ってくれたこのアレンジも、シャンペトルブーケのひとつだ。

 

「“シャンペトル”は、外にあるものを感じること。光、風、匂い、虫の音……、そういうのを感じることちゃうかなって、個人的には理解してる。でも、明確な定義はないんです。枝ものやグラス系といった“シャンペトルスタイル”によく使われている花材を入れなくてもいい。“シャンペトルスタイル”はボリュームのあるものが多いけど、花と花の間に光と風が通る道が必要やから自然とそうなるだけで、小さくてもいい。ちなみに“シャン(champ)”は「野原、田園」、“シャンペトル(champêtre)”は「野原の~、「田園風」という意味。つまり“シャンペトルブーケ”は「野原のブーケ、田園風のブーケ」。野原や田園の定義は人によってちゃうから、自由でええんやと思う」。

 

諸説あるが、“シャンペトルスタイル”は、パリにおいても昔からあったものではないそうだ。今から30年ほど前、パリのオデオンに花店を構えていたフローリスト、クリスチャン・トルチュ氏が自然豊かなフランス・ロアールの出身で、故郷の景色をブーケに取り入れたのが始まりと言われている。パリの人たちは、週末を郊外の別荘で過ごしたり、近郊の森へ出かけたりするのを好むが、そうした自然とのつながりをふだんの生活に取り入れたいという想いが重なってでき上がった、“パリスタイルの花”のひとつなのだろう。

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Akiko

真っ白のアレンジで感じるパリの冬

続いて、乳白色の「Akiko」(アキコ)に活け始めたのはシクラメンだ。、「空気が冷たあなってくると、白い花がきれいやなって思うねん。なかでもシクラメンの白が大好き。花の形はもちろんやけど、葉っぱもフォトジェニックやし、葉脈の模様も好き。最近、市場で切り花も見かけるけど、丈が短いし、もちも良くないから今日は鉢植えを用意しました。鉢から切る場合は水揚げが心配やけど、茎に風が当たらないように水をちょっと多めに入れれば大丈夫。お庭にガーデンシクラメンを育てている方はぜひ切り花としても楽しんで欲しいな」。

 

この日、シクラメンの花に胡蝶蘭を合わせていた幸恵。実は、彼女のアレンジでは、胡蝶蘭が使われることが多く、私にとって胡蝶蘭は、幸恵の“シグニチャーフラワー”だ。「今回、蘭の面白さを日常使いできたらいいなって。パリに行って、あ、蘭って本当にきれいやなって改めて思ってん。日本やと、きれいすぎてなんとなく遠い存在やし、やはりお祝い花のイメージが強かったけど、きれいやからこそもっと使いたいなと思って」。

 

だが、胡蝶蘭は平面的な花。アレンジに使うのは難しいように思える。「せやねん、それをな、この葉っぱとかを重ねて立体感を出すねん。意外と他の花と馴染みやすいし、高級なイメージがあるけど、長くもつから実はコスパもええしな」。そうして出来上がった真っ白なアレンジからは、冬のパリの凛とした空気が伝わってくるかのようだった。

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「質感」と「空気感」

「この企画にお声がけいただいた時、私らしさを表現するとしたら、やはりパリのことだと思ったので、改めてパリの写真を見返しました。パリの花のスタイルは、アート作品のようなものではなく、ほら、印象派の画家が描いた絵には必ずテーブルやコンソールの上に花があるやん。そんなふうに、暮らしの中にずっとある感じ。パリの街の光と影というか、“空気感”みたいなものを伝えられたらと思いました」。

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“パリの石畳”の色を感じるという【グラヴィエ】色の「Joe」(ジョー)には、白とグリーンの花を活け、そこに黒いチョコレートコスモスを添えた。「ミントはあえて紅葉したのを選んでん。本来は初夏のものやけど、この時期は紅葉したものも出回っていて、冬の気配を感じて、たまらなく好き。一緒に活けたパフィオの色ともリンクする」。

 

彼女が花を選ぶ時にもっとも気にかけるのは「質感」だという。それぞれの花が持つ形の面白さと共に、切り花にはもともと根があって、それが土と繋がっていたことを、さまざまな「質感」を取り入れることで表現している。そしてそれが「季節感」にもつながるという。

 

「例えば、今の季節(秋)だったら“カサカサ”しているものを取り入れるようにしてる。植物の1年のリズムは面白い。明るく希望に満ちた春は、花も柔らかいし、花びらも“ふわふわ”してるやん。初夏はみずみずしい緑がきれいで“むくむく”ってなる。で、真夏やと緑が濃いもの、花びらが固いものが多い。秋は花の水分量が変わり、植物を触るとちょっと“カサカサ”していて、秋だと実感できる。春の花やとこんな音は絶対せえへんからな。同じ秋でも、始まりと中頃と終わりで花は全然違うから、そんな季節の細やかな変化を見て触れて匂って、五感で何かを感じられる花を作りたい。逆に、何も感じない花は作っちゃいけないと思ってる。生き物に触れている以上、それは一番大事にしたいこと」。

あえて虫喰いの葉っぱを探す

この企画では指定のフラワーベース3種以外に、活けてみたいフラワーベースを1点選んでもらっている。幸恵が選んだのは、Henry Deanの中で永遠のナンバーワンというほどお気に入りだという脚付きのフラワーベース「Rome」(ローマ)だ。

 

「花を活けていない時は、大きめのキャンドルを入れて昼から火を灯して楽しんでる。普段は枝ものだけを入れるんやけど、今日はこれで終わるわけにはあかんから、もうちょっと活けるわ(笑)。このフラワーベースは、花材のひとつとして水の美しさも見せたくなる。涼しげやから夏はもちろん、冬のキリッと冷えた水も花材のひとつやと思うで」。

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Rome

野ばらの枝から活け始めて、アカシア、白いグロリオサ、そしてアマランサスがフラワーベースに次々と投げ入れられていく。「見て見て、このアマランサスの虫喰い、穴の形も最高やな。今の季節(秋の終わり)は、紅葉した絶妙な葉の色と葉脈の透け具合、ほんでこの虫喰い加減。朽ちてたり、欠けてたりするのがパリっぽい雰囲気を作ってくれる気がする」。

 

幸恵は、市場であえて「虫喰い」のある葉っぱを探すのだそう。日本では傷のないもの(虫喰いではないもの)が好まれるが、植物が自然の中で生きていることを感じる花材を常に選ぶことには強いこだわりをもっている。

後編(2021年4月10日更新)では、幸恵の花人生について伺っていきます。

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金山幸恵

RAFFINEE -les fleurs-主宰

 

大阪生まれ。OLから花屋に転身後、関西の大手フラワーショップに10年間勤務。店舗運営をはじめブライダルやホテルの装花に携わり、10店舗をまとめるチーフを務める。

 

2008年、花に真正面から向き合うためにパリ花留学へ。

 

パリ在住のフラワーデザイナー、斎藤由美氏、パリの人気花店「Rosebud fleuristes」のヴァンソン・レサール氏をはじめ、トップフローリストのもとで修行し、研鑽を積む。

 

2009年から「RAFFINEE -les fleurs-」として活動をスタート。フラワーレッスンの他、フラワーショップや企業向けフラワー講習、スタイリング、ブライダル装花のデザイン提供なども行う。一方で、現在も年に1度、1ヶ月以上渡仏し、ブラッシュアップを続けている。

HP:https://raffineelesfleurs.com
Instagram:@raffineelesfleurs

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今回の撮影で使った Henry Dean と使用した花材 

1.Stromboli S / カブ(D12 H21)¥13,800

ラナンキュラス、スカビオサ、アカシア・パープレア、白樺

2.Akiko L / ギルテッドホワイト(D21 H21) ¥9,200

シクラメン、ユーカリポプルス、コニファー・ブルーバード、コチョウラン

3.Joe / グラヴィエ(D12 H21)¥5,200
フウセントウワタ、チョコレートコスモス、スカビオサ、アマランサス、パフィオ、アップルミント

4.Rome(D 6.5 W11 H16)¥22,500

野バラ、アカシア、グロリオサ、アマランサス

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